vol.3
コロンブスが新大陸を発見して以来、ヨ−ロッパから幾人もの白人がおしよせてきました。その際にインディアンたちからトウモロコシの育て方を教わり、命拾いしたという話があります。その他、トウモロコシにまつわる伝説もかなりあります。ずっとずっと昔から現在に至るまで、トウモロコシはインディアンにとってきってもきれない存在なのです。
また、ホピのジュェリ−でよくみかけるモチ−フ「トウモロコシ」。ある本によると、トウモロコシ抜きでホピの祭祀はありえないといいます。コ−ンミ−ルで道が記されたり、コ−ンミ−ルの線で通路が遮断されたりします。祭壇にもコ−ンミ−ルやそのままトウモロコシが飾られるといわれています。また、子供が生まれたときには、トウモロコシが脇に置かれたり、子供の全身にコ−ンミ−ルをすり込んだりするそうです。
こんなトウモロコシをホピの人々は、水をまいたり等の特別なことをしないで自然にまかせそだてています。ホピの村々は、岩と乾いた土ばかりでほとんど雨の降らない土地、ホピの村を訪れるたびに「よく、こんなところでトウモロコシが育つな−」と思ったものでした。トウモロコシの栽培は、まさに天気任せで、本当の「天からのめぐみ」そのものなのです。
ホピ族の人々がトウモロコシを尊ぶのには幾つもの理由があるそうですが、この世界ができたとき、トウモロコシは人類のため聖なるものとして創造され、人間にとっての乳であるといわれています。また、ホピの人々にとってトウモロコシは母なる大地と同じ意味をもち、人はトウモロコシを食べ自分の肉とするので「トウモロコシ=人間の体」とも考えられています。
話がとっても堅苦しくなりましたが、今回は、こんなインディアンとトウモロコシのつながりを、あるインディアンのご家族を通して、生活の身近なところで、ふと触れることができたお話です。 ニュ−メキシコ州のサンタフェのお土産屋さんをのぞくと必ず目につくのが、軒先やショウ−ウィンドウ−に飾られている、赤とうがらしのリ−スや赤や黄・青とカラフルなトウモロコシの束。日本では黄色のトウモロコシしかみたことのない私は、珍しさから立ち止まってボ−ッとトウモロコシの束をながめていました。すると、お店の人がそそくさ寄ってきて「これは、サントドミンゴの人が作ったのよ。」と教えてくれました。サントドミンゴといえば、タ−コイズやシェルをヒ−シ−にしたネックレス等のアクセサリ−しか作らないと思ってたのに・・・・。意外なサントドミンゴ族の面をみれてうれしくなりました。そして、翌日のサントドミンゴ族の村への買い付けが、より楽しみになったのです。 翌日、買い付けの為、サントドミンゴの村を訪れました。サントドミンゴの村に入っても、昨日あれほど見たトウモロコシの束など全くみあたらず、あの華やかさのかけらもかんじられません。民家が建ち並ぶ集落と、車で走ると土埃があがるほど乾燥している土地、目に見えるのはそれだけでトウモロコシ畑すら見えず、なんらトウモロコシとは縁のなさそうな村だと思いました。
以前、買い付けの際にお世話になったお店に立ち寄ってみました。久々の再会です。しばらくの間ご無沙汰だったので、覚えていてくれたか心配だったのですが、ちゃんとおぼえていて私達をあたたかく迎えてくれました。お互いの近況報告を交えながら雑談をしていると、おばあちゃんが「お腹空いてない?この辺は、食事をするところがないから、家でなんか食べていって。」と、不意の訪問にもかかわらず、食事をもてなしてくれました。
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menu
・ゆでたトウモロコシ
色は白色で形は日本のトウモロコシよりひとまわり
小さく1粒1粒も大分小さい。
塩とバタ−をぬって食べる。
・コ−ンブレッド
トウモロコシの粉と小麦粉でつくるパン。インド料理の
ナンのような色、形、食感だった。
バタ−をぬって食べる。
・コ−ンス−プ
日本でもおなじみのコ−ンス−プ。
黄色くてポタ−ジュみたいになっている。
・タマレ
豆とひき肉をチリなどで味をつけ、どろどろにしたものを
トウモロコシ粉を練った生地で包み、さらにそれを
トウモロコシの葉でくるみ蒸して食べる。
・コ−ヒ−
むぎちゃのような、いわゆるアメリカンコ−ヒ−。
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旅の道中、食事は外食、あるいは最寄りのス−パ−のデリでパンやチキンなどを買い込んでモ−テルですませたりしていました。何日もこんな状況だったので、食事が少し憂鬱になってきていました。実をいうと、宿泊先のサンタフェからここにくる移動中、車の中で夕べの外食先で食べきれず持ち帰ってきたパンとオレンジで朝食を済ませてきたばかり、お腹はパンパンでした。それにもかかわらず、出された全ての物を残さずおいしく食べることができました。とくに、おばあちゃんの作ったタマレは絶品!でした。タマレの見た目は、トウモロコシの葉でくるんであるので日本のちまきのようなかんじです。味は、トウモロコシのほのかな甘みとチリのピリッとした辛さの絶妙なハ−モニ−で、今までに体験したことのないものでした。 帰りの車の中あることに気づきました。食事中は、おいしさからの感激と会話に夢中になっていたため全然分からなかったのですが「な、なんと、さっき食べたメニュ−全部がトウモロコシからできていたのだ〜。」
さきほどまで、トウモロコシの存在すら感じなかったのに、こんなことで、私達はインディアンたちとトウモロコシの深〜いつながりをのぞくことができたとは・・・。 アメリカ全土にわたり、インディアンコ−ンはアメリカインディアンにとってむかしから、生命の糧のような存在でした。トウモロコシはとても古いもので今の科学でさえ、そのもとになった植物が何か、また、いつ頃その文化が始まったのか、確たる証拠がみいだせないでいるそうです。
様々なインディアンに関する本を読んでは自分なりに勉強し、トウモロコシとのつながりも自分なりに頭の中で解釈してるつもりだった、・・・のですが。頭でっかちになりがちだったところに、今回こうしてサントドミンゴのあるご家族のもてなしにより、彼らとトウモロコシとの密接さを感じることができました。
いろんな文献を読むより、やっぱり、食文化にふれるのが一番だ!と、思った。
AH〜、またあのタマレが食べたいな〜。
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